学部

教育学部での学び

人間の誕生から始まるあらゆる「教育」を学ぶ。

東北大学教育学部は、人間の誕生からの一生涯にわたるすべての教育を研究の対象としています。教員養成を主眼とする教育学部とは異なり、学校教育はもちろん、家庭や社会での学び、子どもの発達や老いの問題、心の問題、障害を持つ人のことなど、「教育」という現象を広くとらえ、さまざまな教育の問題や課題を研究の対象としています。

教育学部の卒業生は、教員養成系の他の大学と同様に教員免許状を取得して教師として活躍するほか、教育行政の現場や企業内教育、社会教育の専門家として、青少年の矯正や女性の自立支援の専門家として、また、各分野での心理職として活躍しています。

このような多岐にわたる教育の現象について学ぶため、東北大学教育学部では、教育学をはじめ心理学、医学、哲学、文化人類学など多様な専門分野の教員が在籍しており、学生は、幅広い教育の理論や実践を学ぶことができます。

  • 学びに関するQ&A

    • 東北大学の教育学部ってどんなところ?

      普通に「教育学部」と聞くと「先生になるための勉強をするところ」と考えますよね。もちろん、東北大学の教育学部を卒業して先生になる人もいます。でも、「教育」は学校にいる間だけの現象なのでしょうか。東北大学の教育学部は、教員養成を主眼とする教育学部とは異なり、人間の誕生から一生涯にわたるすべての教育を研究の対象としています。例えば、家庭での親と子の関係、子どもが心と体を発達させていく過程、社会に出てからの地域や企業での学び、子どもだけでなくすべての世代が直面する心の問題や老いの問題、障害を持つ人々、そしてこれら教育の問題にどのような対処するかを行政や社会全体の問題として考える。このすべてが教育学の研究対象なのです。

    • 東北大学の教育学部に入ったらどのように学ぶのですか?

      東北大学の教育学部に入学したら、まず、学問の基盤や幅広い専門的教養を身に着けるために他学部の学生と一緒に一連の「全学教育科目」を学びます。それと同時に、教育学部生共通の知識や研究方法の基礎を身に着けるために「学部共通科目」を学んでいきます。学年が進むと、高校時代に理系や文系のコースに分かれたように、「教育学コース」「教育心理学コース」に分かれ、各専門分野の講義をまんべんなく履修することで教育学部生としての幅広い教養を身に着けながらも、履修モデルに従って将来研究する専門領域の知見を深めていきます。さらに大学生活後半になると、希望する指導教員を選び、卒業研究に向けて「研究指導」を受けることになります。この段階では、自分の研究する領域に関わる講義や演習を受けながら、自分の興味・関心のある研究テーマについての研究を深めていきます。4年生になると卒業研究が中心となり、自分がこれまで進めてきた研究を「卒業研究」としてまとめます。

    • 先輩たちはどんな研究をしていますか?

      一部ですが、平成28年度は以下のような卒業研究がなされました。本当にいろんなことが「教育学部の研究対象」になります。

      [教育学コース]
      • 大工の熟練形成と技能習得過程
      • 現代の日本社会におけるロールズ『正義論』の適用 -健康格差を考慮して-
      • 中等教育におけるALT活用の実態と課題
      • 大学入試センター試験における競争倍率と学力の関係について
      • 日本におけるフリースクールの研究 -制度的側面に着目して-
      • 学校跡地の再活用計画過程 -横浜市緑区霧が丘地区を事例として-
      • 近代日本における朝礼の歴史
      • 「地理」学習の好き嫌いの傾向とその背後に潜む要因
      • 校歌についての研究 -福島県の校歌を中心として-
      • 地域を素材としたカリキュラム開発の定着過程に関する研究 -仙台市立七北田小学校における「地域共生科」を事例として-
      • 被災地で子どもに向き合うNPO
      • 子どもの遊びの変遷 -メディア利用に着目して-
      • 運動部活動における上下関係と実力主義 -宮城県工業高校バドミントン部を事例として-
      [教育心理学コース]
      • 替え歌記憶法が非単語の記憶に与える効果
      • つまずき明確化方略の教授が大学生の質問生成に及ぼす効果 -学業的援助要請のスタイルに着目して-
      • 図の有無が読解成績に及ぼす影響について -大学生の説明文における読解方略の構造と類型化をふまえて-
      • 非行少年の立ち直り支援に関する臨床心理学的研究 -更生保護ボランティアの立場に着目して-
      • 中学生におけるストレスへの対処行動に関する一研究 -友人からのソーシャル・サポートとセルフコントロールに着目して-
      • 発達障害児及び発達障害の疑いのある児童の在籍する通常学級担任が学級経営において感じる困難さに関する質的研究
      • 母親からの自律性援助が友人への依存に与える影響 -青年期における心理的自立を媒介として-
      • 青年期における両親間葛藤の認知と抑うつとの関連 -きょうだい関係に着目して-
      • てんかん患者の就労状況に関連する心理的要因の検討 -セルフスティグマと自己効力感に着目して-
      • 意図的な笑いが対人関係における印象変容と会話満足度に与える影響
      • 小学校低学年までに経験した親との死別体験とその受容に関する研究
      • 落ち込んだ際の友人の対応の仕方が受け手の気持ちに与える影響 -受け手の友人関係のとり方に着目して-
    • 東北大学の教育学部を卒業した後の進路はどのようになっていますか?

      教員養成を主眼とする教育学部を卒業した学生さんの多くは、教員採用試験を受けて教員になることを目指している方が多いようです。東北大学の教育学部にも教員を目指して実際に先生になっている人も多くいます。しかしながら、東北大学の教育学部からは、先生になるだけでなく文部科学省や都道府県、市の職員となって行政の立場から教育に関わっていこうとする学生さんもたくさんいます。その他に、教育に関わる民間企業だけでなく、金融や情報通信に関わる民間企業に就職する人も多くいます。
      このように学部を卒業して就職するだけでなく、少なからぬ学生さんが大学院に進学して学びを継続させています。東北大学は全国でも有数の「大学院大学」で、多くの大学院生が盛んな研究をしています。学部からの進学組だけでなく、他の有名大学からの進学組、社会で教育に関わる仕事をされているプロフェッショナル、大学や中学・高校の先生方も「大学院生」となって若いみなさんと一緒に学び研究をしています。みなさんが就きたいと思う仕事の中には、例えば臨床心理士や公認心理師などは大学や大学院で学ばないと挑戦できない資格などもあります。学校の先生になる場合でも、大学院まで学べば「専修免許状」という特別の教員免許状を得ることができます。高校生のみなさんも、せっかく東北大学に興味がおありなら、大学院進学のことも調べてみましょう。

      教育学部生の進路
    • なぜ、地元の大学ではなく東北大学の教育学部を勧めるのですか?

      高校生のみなさんは、今はまだ「偏差値」や「通いやすさ」で大学を選んでいる最中かもしれません。しかし国立大学には、それぞれの特性に応じた役割があたえられています。地域に密着して社会に貢献している大学、特定の分野に強みがあって世界と勝負している大学など、高校生のみなさんから見たら同じ「国立大学」で、自分たちはそこに入学して「勉強」するだけだと考えがちです。でも、入学後に、みなさんが活躍したり貢献したりできる方法は、大学に与えられた役割によってずいぶん異なってきます。東北大学は、すべての分野で世界的な活躍を期待されています。もちろん、教育学部もその役割の一端を担っています。
      どの国立大学の役割も尊いですが、もし、みなさんが社会全体の中での教育を考えたり、世界の人と協力して仕事をしたりしたいと考えているのなら、東北大学教育学部で私たちと一緒に研究したり活躍したりする大学生活はいかがでしょうか。

    • 東北大学の教育学部についてチェックしておくことは?

      教育学部では、国家資格の「公認心理師」に対応したカリキュラムを実施する予定です。また、大学院教育学研究科では、今、最先端で現代的な教育の課題を解決できる、グローバルな人材を育成するために「新しい教育学研究科」になるための準備を進めています。この新しい組織は平成30年度からスタートする予定です。詳しいことを知りたい方は、大学院のパンフレットをご覧になることをお勧めいたします。

      表紙
      東北大学 大学院教育学研究科
      案内パンフレット