東北大学 大学院教育学研究科・教育学部

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大学院案内 研究科長挨拶

人間の在り方に関する根源的な問いと探求の世界への参画を。
―東北大学教育学部70年目の節目に際して―

東北大学 大学院教育学研究科長・教育学部長

八鍬 友広YAKUWA, Tomohiro

八鍬 友広

 東北大学教育学部は、国立学校設置法に基づいて1949年に創設されました。今年でちょうど70年目を迎えます。前身は、東北帝国大学法文学部に開設された教育学講座ですが、その初代教授となったのが、教育哲学者の篠原助市でした。篠原が著した『理論的教育学』は、沢柳政太郎の『実際的教育学』と並んで、当時における教育学の代表的著書ともなっています。ちなみに沢柳政太郎は、東北帝国大学の初代総長となった人でもあります。このように東北帝国大学の時代のなかに、教育学者の足跡が刻まれていることは、本学と教育学との関わりを示して興味深いものがあります。

 戦後、部局として独立した教育学部は、教育学と心理学を車の両輪として、人間における教育の在り方と課題に関する探究を続けてきました。70年に及ぶ歴史のなかで、教育学部の在り方も様々な変遷を遂げてまいりました。教育学部および大学院教育学研究科における講座・専攻の編成も大きく変貌しています。2018年には、教育情報学研究部・教育部との統合を成し遂げ、新しい教育学研究科がスタートしました。データサイエンスやICT(情報通信技術)などのような先端的な学問・技術と関連付けて教育を探究する試みも始まっています。

 さて、近年の出版界において注目されることとして、人類の歴史全体の俯瞰をめざした書籍が相次いで刊行されるようになったことがあげられます。なかでもユヴァル・ノア・ハラリの著した『サピエンス全史』はその代表的なものと言えるでしょう。このような刊行動向は、人間が置かれた現状とも深く関わっているのかもしれません。この数百年にわたって展開してきた資本主義の拡大がついに地球を一巡し、世界は新しい局面に入りつつあるとも言われます。また人工知能や生命の操作などを通じて、人類そのものが自然史の過程から離脱しつつあるというのが、『サピエンス全史』の著者の見立てでもあります。これらの論の可否は今後の検証に待つしかありませんが、いずれにせよ、人類がこれまでにない岐路に直面していると考える人が増えつつあるということは間違いないでしょう。

 人類史を画する以上のような時代のなかにあって、私たちは、人間の在り方や人間形成の在り方をどのように考えていくべきなのでしょうか。教育学は人間の成り立ちそのものに関わる問いによって構成されています。このような教育をめぐる問いは、今日、より深くより根源的なものとならざるを得ないでしょう。私たちは、この問いへの探究を、皆さんとともに続けてまいりたいと願っています。若いみなさんが、果敢にこの探求の世界へと参画されることを期待してやみません。