概要

研究科長・学部長挨拶

広大な拡がりをもつ教育という営みに幅広い方法でアプローチしていく。


東北大学 大学院教育学研究科長・教育学部長

野口 和人NOGUCHI, Kazuhito

野口 和人

2022年は,東北大学設立115周年ならびに総合大学100周年の年にあたります。教育学部が設立されたのは1949年ですが,その前史を辿ると1922年の法文学部設置,すなわち総合大学としての東北大学のスタートに行き着きます。この法文学部設置を契機として,その翌年には教育学講座が設置されています。その後,学部として独立し,教員養成課程をもつ時期を経て,現在は大学院博士課程を有する,我が国で屈指の教員養成を目的としない教育学部として存在しています。2018年度には研究科の再編を行いましたが,新しくなった教育学部,大学院教育学研究科の大きな特徴の一つは,一つの学部・研究科内で文理融合的な教育・研究体制を有していることと言えるでしょう。

 さて,教育という営みは,学校の場にとどまらず,空間的にも時間的にも広大な拡がりをもっています。一人のヒトが生まれて以降,その生涯を通じて,様々な形で教育という営みに関わります。また,そのような営みは,歴史的に連綿と続けられてきており,世界の各地でそれぞれの形をもって行われています。 

 一方で,このような営みが滞る場合もあります。世界的に見れば,十分な教育を受けることができない子どもたち,教育という営みに参加できない人たちが多数存在しています。また,日本国内においても,様々な事由により,この営みに十分に参加できない,関わっていくことができない方たちも存在しています。こういったことを克服していくために必要な様々な事柄について明らかにしていくことも必要となります。

 さらには,大学という場は,次の社会を担う人材を育てていく場でもあります。この,大学という学びの場自体の在り方についても常に問うていく必要があります。

 私たちは,これらのことに様々な形でアプローチしています。哲学的,歴史的,制度的なアプローチや心理学的アプローチ,さらには,AIやロボティクス,ビッグデータ処理など,様々なアプローチの方法を備えています。そして,これらのことについて,皆さん自らが自発的・主体的に明らかにしていく場が教育学部,そしてそれに続く大学院である教育学研究科という場であると考えています。

 なお,大学院においては,国際的な取り組みも積極的に進めています。東アジアの3つの国,4つの大学と連携したアジア・エデュケーション・リーダー・コースという学びの場を作り,2021年度からは,これに参加して学ぶことを単位化しています。また,UNESCOのバンコク事務所と交流協定を結び,UNESCOという国際機関でのインターンシップの道も開いています。このように,皆さんがグローバルに活躍していける学びの場も整えています。

 私たちは,これまで述べてきたことに関心のある皆さんをお待ちしています。ともに未来を創っていきましょう。