10年間の活動の記録

■当事者支援

相談支援…相談員が、電話や来所・訪問の形でご相談に応じました。電話相談に関しては、フリーダイヤルを2回線設置し、2012年4月から2020年12月までの間、土曜、日曜、祝日を除く平日の9時から17時までご相談を受け付けました。

親族里親サロン…2012年度から2020年度にかけて、宮城県東部児童相談所、宮城県東部児童相談所気仙沼支所、宮城県里親連合会(現・みやぎ里親支援センター けやき)との共催で、震災孤児を預かっていらっしゃる親族里親の方々向けのサロンを開催しました。

遺児家庭サロン…・2013年度から2016年度にかけて、宮城県東部保健福祉事務所と連携し、震災遺児家庭を対象としたサロンを実施しました。

遺児・孤児学習支援…2015年度から2019年度にかけて、 “しゅくだい塾”という名称で、震災遺児・孤児向けの学習支援を行いました。あしなが育英会東北事務所・みやぎ里親支援センターけやき・東北大学の大学生・院生の協力のもとで開催しました。

■支援者支援

研修…2012年度から2020年度にかけて、保育者や里親、行政、教育機関向けに、被災後の子どもたちや保護者への支援、対応などに関する研修を計29回、行いました。

ストレスマネジメント…2012年度と2013年度に、あしなが育英会の新しいスタッフの方々を対象としたストレスマネジメントを実施し、グループワークによる話し合いや共同作業、また呼吸法や筋膜ケアなどの身体的アプローチを行いました。

スーパーヴァイズ…2012年度と2013年度に、宮城県東部児童相談所の里親担当職員を対象としたスーパーヴァイズを実施し、相談援助活動に関する助言を行いました。

関係機関との連絡会議…2012年度から2020年度にかけて、震災後の子どもたちの心身の健康と健全な発達の支援を目的とした「南三陸町子ども支援連絡調整会議」(南三陸町保健福祉課主催)の運営と実施への協力を行いました。

心理士保健師派遣事業…2018年度に、山元、七ヶ浜、南三陸の宮城県内計3町、2019年度と2020年度に七ヶ浜、大郷、南三陸の計3町に心理士、2020年度に大郷町に保健師を派遣しました。派遣心理士・保健師は、乳幼児健診や巡回相談などの場で活動しました。

■普及・啓発

シンポジウム・講演会…2011年度から2019年度にかけて、東日本大震災で親を亡くした子どもたちやその保護者の支援に当たる方々などを対象としたシンポジウムと講演会を計11回、開催しました。支援者や報道関係者ら、延べ616名がご参加下さいました。

研修・講話・講演・講義・出前事業・模擬授業…2011年度から2020年度にかけて、 震災や震災支援について広くお知らせするため、中学校や高校の生徒、大学生、一般の方々を対象とした研修・講話・講演・講義・出前事業・模擬授業などを計32回実施しました。

■情報収集とニーズの把握

沿岸被災地の児童相談所、保健、福祉、子ども関連の行政機関、民間の支援団体等を訪問し、情報収集を行いました。初年度以降の3年間は、支援室の活動を組み立てていった時期でもあり、訪問型の情報収集が頻繁に行われました。関係機関とのつながりができてくると、来室での情報交換や講演会や研修会に参加しての情報収集も行われるようになりました。

■調査・研究

学会発表…2014年度から2018年度にかけて、震災で親をなくした子どもの養育に関する調査や震災後の電話相談における相談員の対応などをテーマとし、国内外で計10回、学会発表を行いました。

論文・著作物…2011年度から2020年度にかけて、東北大学大学院教育学研究科研究年報や学外の雑誌など計7つの論文・著作物に、震災子ども支援室の活動や研究結果を掲載しました。

震災こころの支援研究会(D研)…2017年度と2018年度に、震災関連書籍や論文を読む読書会を実施しました。主なメンバーは、東北大学大学院教育学研究科、同大学教育学部に所属する学生でした。震災関連の文献レビュー、東北心理学会での発表なども行いました。

研究調査協力…2018年10月から2019年3月にかけて、震災子ども支援室の室長が厚生労働省平成30年度子ども・子育て支援推進調査研究事業「東日本大震災における『震災孤児等への支援に関する調査研究』検討委員会」委員長を務めました。また震災や支援に関心をもつ学生への対応など、研究協力を行いました。

調査…2014年度から2020年度にかけて、東北大学大学院教育学研究科研究倫理委員会の承認を受け、親族里親に対する面接調査や遺児家庭へのアンケート調査など計8つの調査を行いました。

■広報

出版物、報告書…2011年度から2020年度にかけて、年次報告書計9冊、主催したシンポジウム、講演会などの内容をまとめた報告書計11冊、その他の報告書計4冊、小冊子計4冊、書籍1冊を刊行しました。

その他の活動…開室から閉室までの間に、相談事業についてお知らせするポスター計2種類、チラシ計9種類、カード計6種類を作成し、自治体、学校などに配布しました。東北大学オープンキャンパスでのブース出展やニュースレターの発行も行いました。2011年度にはホームページを開設、2012年度にはFacebookのアカウントを取得し、いずれも閉室まで随時、情報を更新しました。

報道関係…閉室から開室までの間、新聞、テレビ、ラジオといった報道機関の取材に応じました。東北大学Annual Reviewや学外の刊行物でも震災子ども支援の活動を紹介しました。

「S-チル」の名称について・

S-チルの「S」には、3月(さんがつ)の震災後(しんさいご)の相談(そうだん)のSから始まり、子どもたちの健やか(すこやか)な成長(せいちょう)と幸せ(しあわせ)を支える(ささえる)ことを目指すという意味を込めました。「チル」は、「子どもたち」という意味の英語の単語children(チルドレン)からとりました。